2011年04月20日

今更聞けない原子力の基礎知識E 放射能はうつらない。


ニュースを見ておりますと、福島から避難した子供が、『放射能がうつる』という苛めを受けたというニュースをみました。また、川崎市が被災地のゴミを処理しようとすると、同様の理由で抗議が殺到したというニュースも見ました。

大変嘆かわしいことです。

どちらの事件も無知からくる集団ヒステリーの一種と思われます。
ヒステリーの理由の一つに、未知なものに対する恐怖があると思います。

まず、根本的なことを書きます。放射能は伝染病ではありません。
伝染病は、寄生虫や細菌やウィルスによって引き起こされる病気です。
放射能は如何なる意味でも、寄生虫や細菌やウィルスでもありません。
したがって、放射能が伝染することはありえません。


このシリーズでは、第1回で触れましたが、放射能という言葉は、実態がまったくありません。

放射能と言う言葉は、『放射線を発する能力』という意味です。
有害なのは、発せられる放射線です。
そして、放射線を発する物質を放射性物質もしくは、放射性同位体といいます。

どういうわけか、放射能は、放射性物質という意味で、使われています。

これには色々と理由があるでせうが、原子力が使われ始めたころに、この誤用が始まり、今に至るも使われております。昨今は、ニュースなどでは、この辺りを分けて使われていますが、まだ一般レベルまでは普及していないようです。

放射線を浴びても、自ら放射線を発するようにはなりません。

例えば、ジャガイモの芽に放射線を浴びせて、発芽を抑えるという方法があります。
ジャガイモの芽は、食中毒の原因になります。過去に多くの事例があります。
薬品で発芽を抑える方法もあるのですが、そういう薬品は大概人体に有害です。
微量でも使わないに越したことはありません。

放射線を浴びせても、ジャガイモが放射性物質に変化するわけがありません。
放射線を浴びて、ジャガイモの芽が変性するだけです。
決してジャガイモから、放射線は出てきません。
残留する薬品も存在しないので、安全というわけです。

では、どういうケースだと放射線がでるかというと、放射性物質を含んだ塵を浴びると、放射性物質から放射線が出ます。見た目上、放射性物質を含んだ塵を浴びた人から、放射線が出ているように見えます。無論、放射性物質を含んだ塵から放射線が出ているので、塵を洗い流せば、放射線が出なくなります。原子炉の作業に携わった防護服などに、大量の水で洗うのは、この放射線を含んだ塵を洗い流すためです。

これは、放射性物質が検出された農作物も同じです。
ニュースで『福島県産の農作物から○×ベクレルの放射性ヨウ素が検出されました』とは言っても、『福島県産の農作物は○×ベクレルの放射能に汚染されています』とは言わないのは、こういうわけです。

多くの塵は、洗い流せば落ちます。放射性物質を含む塵を浴びたのなら、洗えばいいのです。塵の量が多かった場合、完全に洗い流せるかわかりません。一部は、光合成などによって植物に取り込まれたものもあるでせう。よって、ある一定値以上の放射線が観測された農作物は、出荷停止になったというわけです。

今後人体に害が出るのは、どのくらいの量の放射性物質を体内に取り込んだかにかかってきます。ただ、健康被害が出るとしても、本人に限定した話です。決して他人に伝ることはありえません。

よって、『放射能がうつる』というのは、新たに生まれた迷信であり、偏見であると断言できます。

では何ゆえ、『放射能がうつる』という迷信が生まれたのでせう?

前から思っていたのですが、我々日本人は、放射性物質による汚染を『穢れ』と捕らえているのでは、ないでせうか。

『穢れ』は『時間・空間・物体・身体・行為などが、理想ではない状態・性質になっていることを表す神道の宗教概念』です。日本人は宗教に無頓着ですが、この『穢れ』は日本人の無意識下にしみこんでおります。例えば、どんなに悪口を言われても怒らない人が、『汚い』と言われて激怒した現場を見たことがあります。

『穢れ』とセットになっている言葉が『禊ぎ』です。文字通り洗い流すことです。
たとえ『穢れ』ていても、『禊ぎ』を行えば、元に戻ると考えているのです。
汚職などで辞めた議員が、選挙で勝つことを『禊ぎ』というのは、これに起因します。

朝シャンなどに代表される日本人の清潔好きの背景には、この『穢れ』と『禊ぎ』の概念があるのではないかと指摘されています。

そして、多くの人は放射能がどういうものなのか、さっぱり分かりません。
分かっているのは、恐ろしいものであるという恐怖だけです。

つまり、『放射能』という未知のものに対する恐怖と、日本人の無意識に潜んでいる『穢れ』の概念が結びついて、『放射能がうつる』という迷信が生まれ、その恐怖から苛めといった集団ヒステリーを生んでいるのではないかと思うのです。

例えば、上記のジャガイモの芽に放射線を照射する方法ですが、嫌悪感を示される方が多いです。効果を考えると、薬物が残留しない放射線の方が合理的で安全だと説明しても、嫌悪感を拭えない方が多いです。どうも『ジャガイモが放射能によって穢された』と捕らえているようなのです。

日本人の原子力の原体験が広島、長崎であることを考えると、こうなったことは無理が無いと思います。

そうだとすると、この集団ヒステリーを解消する方法は二つです。

@放射性物質に関する正しい知識を広める。
A放射性物質の『穢れ』から『禊ぎ』をする方法を考える。

自分で書いていてAの方法が思い浮かびません。
なぜなら放射性物質の『穢れ』は、科学知識による新たな偏見によって生まれたからです。
それこそ名だたる神社の神主さんが、福島原発で『禊ぎ』の儀式をしても、殆どの人は納得しないでせう。放射能を除去するコスモクリーナーでもあればいいのですが、イスカンダル星は14万7千光年もの彼方です。

つまり、@の方法しかないのですが、無知の偏見を取り除くのは、教育が第一です。
原子力に関する基礎知識をTVなどで流してくれないものでしょうか。それこそNHKの教育TV辺りで、毎日流してもいいと思うのですが、残念ながらそういう番組はあまりみかけません。

そういう次第で、微力ですが、地道に努力するしかないと思っております。
無論、こんなBLOGで書いた処で、どのほど意味があるか分かりません。
自己満足だと思いますが、お付き合い頂けると嬉しく思います。

福島の原発事故の被災者は、ただでさえ苦労しているのです。
せめて言われ無き偏見に煩わせなければ、いいのですが。


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posted by Jinguzi at 20:10| Comment(6) | TrackBack(0) | 雑談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は広島生まれなので、原爆の話に伴って放射能の事についても学校などで少し学習しました。風評被害で66年前の原爆投下時と全く同じ過ちを犯す人間の話を耳にするたび情けなくなります。放射能は伝染しないけれども、風評馬鹿は伝染するようですね。
 今の原発の状況を決して楽観視してはなりませんが、もう少し理解して冷静にならないといけないと思います。特に関東の人間は、福島原発の恩恵を受けてきたのですから。
Posted by at 2011年04月20日 22:40
名無し様

こんにちは。レスありがとうございます。

>私は広島生まれなので、原爆の話に伴って放射能の事についても学校などで少し学習しました。

私は、はだしのゲンを少年ジャンプの連載で読んでいた世代です。あのころは核戦争の恐怖がありましたから、放射能についての情報はそれなりに学べました。

今は、核戦争の恐怖が身近にない分、勉強する理由が薄れていますねぇ。

>風評被害で66年前の原爆投下時と全く同じ過ちを犯す人間の話を耳にするたび情けな
>くなります。放射能は伝染しないけれども、風評馬鹿は伝染するようですね。

私もニュースを聞いて、60年以上経っているのに同じことをするのかと、ため息が出ました。


>今の原発の状況を決して楽観視してはなりませんが、もう少し理解して冷静にならないと
>いけないと思います。特に関東の人間は、福島原発の恩恵を受けてきたのですから。

迎しゃるとおりです。原発の恩恵で、快適な文明生活を送っていたのです。
原発が起こした不幸も、理解した上で受け止めないといけないと思います。
Posted by Jinguzi at 2011年04月22日 11:16
バカ歯医者 問題なのは放射性フォールアウトによる内部被曝だろう 宗教論で論点をすり替えるな
Posted by at 2011年08月03日 08:47
名無し様

こんにちは。レスありがとうございます。

>バカ歯医者 問題なのは放射性フォールアウトによる内部被曝だろう 宗教論で論点をすり替えるな

今回の話は、『放射能はうつる』というのは迷信であるという説明です。
内部被曝の話はしておりません。
論点をすり替えられても困ります。
Posted by Jinguzi at 2011年08月03日 10:30
やっとまともな話が読めてほっとしておりますが
1も2も、はっきり言って遠い道のりです。
故あって道をはずれた人々にそのまま
こっちが正しいよ、そっちははずれてるよ、
と言ってきくものならば、
非行も犯罪も精神病もこの世から消えてなくなりましょう。
1はもう、電力会社、政府という人たちのせいで
皆さん、なにを聴いても嘘じゃないかと思うように
させられてしまってますし
2はオウムの事件以降、慣れ親しんだお仕着せの知識以外は
みんな怪しいという固定観念に縛られています。
仮に背後をいくら妥当な科学的裏付けに支えられているとしても
「穢れ」「禊ぎ」という文字が抱かせる警戒心をとくことは
並大抵のことではありません。
事故そのもののショックに加え、こういう状況で
変化させられた人たちに
じゃあ、なにを、どう言えばいいのか、
「真実は最後には人の心を打つ」
「いつかは信じてくれる」
「熱意は伝わるはずだ」
などという楽観はおそらく無意味でしょう。
もし、このような場合の、一番安易で、確実な方法
「相手が危険だと思い込んでいるものを食べ
危険だと思い込んでいる場所に住んで見せる。」
が困難であるならば、
相手を変えられる正確なネタ選び、
言葉選び、抑揚選び、タイミング選び、
それらを徹底的に吟味すること。
「やつらバカヒスは聴く耳なんか持たない」
のではなく
「故あって聴く耳を削がれてしまい
持ちたくても持てない相手に向かって」
説くという前提をまず肝に銘じること
そこで出てくる言葉をまた
聴かせてください。
ありがとうございました。
Posted by 傍観者 at 2011年09月21日 17:36
傍観者様

こんにちは。レスありがとうございます。
長い間、放置していて申し訳ありません。

>やっとまともな話が読めてほっとしておりますが

そう言っていただけると助かります。

>相手を変えられる正確なネタ選び、
>言葉選び、抑揚選び、タイミング選び、
>それらを徹底的に吟味すること。
>「やつらバカヒスは聴く耳なんか持たない」
>のではなく
>「故あって聴く耳を削がれてしまい
>持ちたくても持てない相手に向かって」
>説くという前提をまず肝に銘じること

放射線についての知識は、自然科学のものです。
水を0度にすれば凍るという知識となんら代わりがないんです。
その知識があれば、今回の事故でも多くの人の対応は違ったはずなんです。
でも、無関心だったものが危険だと分かった瞬間、知識ではなく感情で行動してします。放射線に無知ならば、尚更です。

分かっていても、難しいですねぇ。

>そこで出てくる言葉をまた
>聴かせてください。

大したことはお話できないと思いますが、微力を尽くしたいと思います。

>ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございます。
Posted by Jinguzi at 2011年10月17日 16:28
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