2011年08月01日

インプラント手術で死亡事故、書類送検へ


2007年に起こったインプラント手術の際の死亡事故が、書類送検されました。



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歯科医を書類送検へ インプラント手術で業過致死容疑

 東京都中央区の歯科医院で2007年、インプラント手術を受けた患者がその後死亡した事故で、警視庁は1日にも、施術した60代の経営者の男性歯科医を業務上過失致死容疑で書類送検する。手術中に注意を怠って口内の動脈を傷つけ、死亡を招いたと判断した。

 インプラント手術は、あごの骨にドリルで穴を開けて人工の歯根を埋め込み、人工の義歯を装着する。捜査関係者らによると、歯科医はこの手術の権威とされ、事故当時で約20年の経験があり、症例数は約3万本にのぼるという。

 捜査関係者らによると、都内の会社役員の女性(当時70)は07年5月22日午後、下あごの右奥歯の手術を受けている最中に具合が急変。近くの総合病院に運ばれたが翌23日午前に死亡した。捜査1課が調べたところ、右奥歯の人工歯根を埋め込むために開けた穴があごの骨を貫通して、その下の動脈が切れており、死因は出血などによる窒息と判明した。

 この動脈の存在について、歯科医は事故当時の医学水準では一般的ではなかったとして事故は予見できなかったと主張。同課は複数の専門家から聴取するなどした結果、一般的に知られていることで、歯科医は危険性を認識できたと判断。それにもかかわらず注意が不十分で、動脈を損傷させたと結論づけた。

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不幸にして亡くなられた患者さんのご冥福を祈ります。

記事どおり、この事故は2007年に起こりました。当事、新聞記事にもなりました。その後続報が無く、民事で和解協議中という噂を聞いておりました。4年経った今頃に書類送検というのは、何かあったのでしょうか。これ以上は推察になりますので、この辺で。

一般的に、インプラントの手術というのは、60歳以下が対象になります。
無論、これは患者さんの健康状態や埋入するインプラントの種類によって左右されますので、あくまで目安の一つと考えてください。

健康で歯茎の状態がよい方は、70歳を超えてもインプラントの対象になる場合もあります。逆に、何か大きな疾患があり、歯茎の管理が悪い方だと、40歳でもインプラントの対象外になる場合もあります。

より具体的に60歳以上をインプラントを避けた方がいい理由は、大別すると次の2つになります。

@高齢になると全身の健康状態が悪化し、手術が困難になる。
A歯周病が進行し、インプラントを埋入するスペースの確保が難しい。

@の理由は、インプラント手術に限らず、全身疾患にも当てはまります。
今の医学は進歩しており、どんなに大きな病気でも一つだけでしたら、生き残れるハードルは以前よりも低くなっております。ところが、病気が二つになるとそのハードルは高くなります。高齢者ほど手術でトラブルが起こった場合に、助かる確率が低くなるわけです。

高齢になるということは、大きな病気を一つ抱えることと変わりありません。若い世代であれば、乗り越えられる壁も年をとると困難になるというわけです。よって、ある一定以上は、手術は控えた方がいいという答えがでるわけです。その目安が60歳というわけです。

Aの理由は、いうまでもありません。
インプラントは、顎の骨を削り、そこに埋入します。つまり、インプラントを埋入するためには、埋入できるスペースを確保できるたけの骨がないといけなくなります。

ここで問題になるのが、歯周病です。歯周病は簡単に言うと顎の骨が溶けて行く病気です。
ただ、歯周病を病気というには、歯医者の中でも意見が分かれています。歯周病は病気ではなく、老化現象だとする意見も根強いです。私もその意見の支持者です。

誰しも歳をとると、髪の毛が抜け、肌の張りが悪くなります。同じ事が歯茎にも起こり、顎の骨が脆くなり、小さくなっていく。その状態が悪化したところに、食べかすが溜まり、細菌が増えると歯茎の状態は、益々悪化して行く。

インプラントを植えようにも、植える畑が無い。それが高齢者にインプラントを避ける理由の一つです。

勿論、上記の2つの理由は、個人差が大きいため、ケースバイケースで対応しなければいけません。そうしたリスクを加味した上で、判断を下さねばいけません。

今回の事故は、そのリスクの見極めに問題があったと検察側が判断したため、書類送検されたようです。なんにせよ、遺族と歯科医師の双方が納得のいく結末を迎えて欲しいものです。


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誤字がありましたので、訂正いたします。

【誤】最近が増えると歯茎の状態は、益々悪化して行く。
【正】細菌が増えると歯茎の状態は、益々悪化して行く。

誤字を指摘していただいた、の様に御礼申し上げます。
ありがとうございます。


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posted by Jinguzi at 12:12| Comment(6) | TrackBack(0) | 歯科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
免疫不全も病気でないというのか?
抜け毛も単なる老化なのか?
Posted by at 2011年08月03日 09:11
名無し様

こんにちは。レスありがとうございます。

>免疫不全も病気でないというのか?
>抜け毛も単なる老化なのか?

今回の話では、免疫不全は全く触れておりません。
抜け毛が老化がどうかは、意見が分かれると思います。
一般論として、加齢現象とされているものを例に挙げただけです。

私は歯周病が、加齢現象の要素を含んでいることを説明したかっただけです。
それ以上の意味はございませんので、ご了承ください。

Posted by Jinguzi at 2011年08月03日 10:27
免疫不全による歯周病もあるだろう 白血病の合併症だ。
歯医者が一般論として抜け毛を語ると言うなら素人だと認めるも同然だ。
Posted by at 2011年08月03日 21:07
名無し様

レスありがとうございます。

>免疫不全による歯周病もあるだろう 白血病の合併症だ。

免疫不全があった時点で、インプラントの治療対象から外れます。白血病の患者についても同様です。
インプラント手術の危険性を説明する際に、わざわざ免疫不全による歯周病を、例に出す必要性があるとは思えません。

>歯医者が一般論として抜け毛を語ると言うなら素人だと認めるも同然だ。

加齢現象の一般論です。
歳をとれば頭髪が抜ける率がたかくなり薄くなるのは、男女を問わず見られる現象です。

専門云々以前に常識の話だと思います。
Posted by Jinguzi at 2011年08月03日 22:37
いつも楽しく読ませていただいております の と申します。

下から4段落目の最後の行
「最近が増えると歯茎の状態は、益々悪化して行く。」
 ↓
「細菌が増えると歯茎の状態は、益々悪化して行く。」
ではないでしょうか・・・
Posted by の at 2011年08月04日 06:46
の様

こんにちは。レスありがとうございます。
早速ご指摘の誤字を修正いたしました。
ありがとうございますm(_ _)m。
Posted by Jinguzi at 2011年08月04日 10:53
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