2014年08月23日

30年ぶりにブラック・ジャックを読んでみた。 #01 ブラック・ジャックは中2病のイタイ人かしれない。


先日、Kindleで、ブラック・ジャックの1巻が期間限定で100円でした。
本は法律で保護されていて、値引きができません。これに対して電子書籍は本ではなく只のデータです。だから、値引きをしても大丈夫なのです。よって、長編作品の1巻だけ値引きすると言う真似ができます。非常にこずるい販売促進法ですが、その手にホイホイ乗る私には文句は言えません。

そんな訳でブラック・ジャックの1巻を読んでみました。多分、前に読んだのは30年ぐらい前だと思います。まだ、高校生だったころです。ちなみに、ブラックジャックは、連載時に読んだのは、小学生のときだったと思います。

余談ですが、私の大学は医師薬と医療系の3学部が揃っており、医学部の同級生の中には、ブラック・ジャックを読んで医学の道を志したという人が何人か居ました。なお、私は『ドクター秩父山』を読んで医学の道を志したと嘯いたことがあります(^o^)。

ともあれ、第1巻の第1話『報復』を読んでみました。


どうもこのブラック・ジャックは、秋田書店から少年チャンピオンコミックスとして出ていた版ではなく、後日再編集された版が元データになっているようです。私の記憶が確かなら、少年チャンピオンコミックス版の第1巻第1話は、海外で瀕死のドラ息子を救うために仕立て屋の息子が犠牲になる話だったと思います。

以下、ネタバレを含みますので、未読の方は、ご注意ください。

粗筋は、ブラックジャックが無免許医として、日本医師連盟に告発されます。日本医師連盟はブラック・ジャックに医師免許を取るように最後の勧告をするのですが、ブラック・ジャックは断り、医師法違反で留置所に送られます。

そこへイタリーの億万長者ポッケリーニ氏が、難病の息子の治療をブラック・ジャックに依頼に来ます。留置場のブラック・ジャックは当然治療ができません。ポッケリーニ氏は、息子の治療をブラック・ジャックにしてもらうために、日本医師連盟会長に頼みますが、すげなく断られます。それどころか、日本医師連盟会長は総理大臣にすら圧力をかけ、ブラック・ジャックの治療を不可能にします。

ポッケリーニ氏は息子の治療を日本医師連盟の医師に任せますが、治療の甲斐なく、息子は亡くなってしまいます。億万長者のポッケリーニ氏は、実はマフィアのドンで、今回の報復に日本医師連盟の会長の息子を銃撃します。

銃撃された息子の手術は困難を極め、日本医師連盟の会長はブラック・ジャックに医師免許を持って治療を頼みますが、ブラック・ジャックは医師免許を破いてしまいます。

今読み返してみると、子供の頃に読んだ印象がだいぶ違いました。

読み返してみての印象が三つあります。

@手塚治虫は、組織の論理を理解していない。
A日本医師連盟はとても優しい組織である。
B手塚治虫はブラックジャックが無免許医であることを多分深く考えていない。

どうしてそう思ったかと言うと、まず思ったの作中の日本医師連盟の描き方です。
作中の日本医師連盟は絶対の権力を有しています。連盟参加の医師全てを支配し、医師免許を恣意的に発行可能な上、治療費を規定することができ、全ての医師に守らせています。そして、総理大臣にすら圧力をかけることが出来ます。

この時点で、物凄くおかしなことに気がつきます。

日本医師連盟という組織は実在しますが、作中のような組織ではありません。
医師の業界団体である日本医師会の関連組織です。主に医師の政治的発言を担っており、自民党の支持母体であります。これは日本医師会としてしまうと差し障りがあるので、ぼかした名前にしただけだと思います。

日本医師連盟は単なる一政治団体に過ぎないのですが、作中では絶対権力を有する組織として描かれています。

たとえば、医師免許の発行権限は、厚生労働省にあります。ブラック・ジャックの連載当時はまだ厚生省ですが、発行の権限が国にあることは間違い有りません。医師連盟の会長さんが幾ら偉くても、恣意的に発行できるはずがありません。

そして、もっと恐ろしいことにブラック・ジャックの世界では、健康保険制度が存在していないのです。作中の記述だと、日本医師連盟が医療費を独自に決めて、連盟参加の医師に守らせています。ところがブラック・ジャックは無免許だから、それを守っていないと書かれています。

つまり、手塚治虫は、日本の公的医療制度の根本を全て無視しているのです。
ブラック・ジャックの掲載誌が少年誌ということを考えても、物凄く乱暴な設定です。当時は漫画雑誌は少年誌が主流で、現在の青年誌は欠片もありませんが。どちらにしろ本来なら、厚生省と警察庁がすべき役割を、無理やり日本医師連盟と会長の我侭の範囲におさめています。確かに厚生省と警察と日本医師会を描くには、登場人物が多すぎるし、複雑すぎます。それを漫画的手法で簡易化したのでしょうが、些か乱暴です。

作中では医師は、日本医師連盟の定める料金で治療しなければいけないとありますが、そんなことはありえません。健康保険制度で、日本全国貧富の差もなく均一な治療ができるようになっているのです。そのため、健康な人でも月々健康保険料を支払っているのです。

この健康保険制度に従って治療をするためには、医師はお役所から『保険医』の認定を受けなければいけません。これは日本国の医師免許を有し申請すれば、認定を取る事ができます。そして、健康保険では治療できる範囲が定められており、その範囲を逸脱するものには、自費診療が認められています。

言い換えると、保険の認定を受けていない治療では、自費で高額の治療費を請求することは、なんら違法ではないんです。健康保険の範囲内の治療であっても、患者さんと合意があれば、自費診療として、高額の治療を請求しても問題はありません。たとえば、がん治療の一つである重粒子線治療器なんかは、高額の医療費がかかります。

そして、日本医師会も日本医師連盟も参加は自由意志です。実際は色々と柵があって、参加しないことは難しいのですが、少なくとも建前上は自由です。

つまり、ブラック・ジャックが日本医師連盟に入らなくて、高額な医療費を請求しても、全く問題がないのです。ブラック・ジャックが医師免許さえ持っていれば。

勿論、一律の料金でなく、高額の医療費を取っていれば、色々とやっかみがあることでしょう。それは、本人がどうすればいい問題であり、作中に描かれるような問題では全くないんです。

つまり、リアルに考えると、ブラック・ジャックは、いい年をした中2病のイタイ人ということになってしまうのです(^^;。

いや、日本国内でブラック・ジャックと名乗っている時点で、中2病なのは間違いないのですが。



こばやし歯科医院バナー



posted by Jinguzi at 21:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
マンガって幼稚で嘘の塊です。娯楽ですから。そんな事も分かりませんか
せめて空想の中で楽しむことも医師は許しませんか?
連載当時に東大医学部の学生が医学的エビデンスがないと手塚先生に抗議の手紙を出したらしい
医師って本当に頭がコンクリートですね〜
小保方さんの論文に関与していたのもエリート医師
国民に莫大な損失を与えました。
手塚先生のマンガは人に娯楽を与えました。
結果と事実です。
Posted by マンガは嘘で稚拙です at 2015年02月15日 20:21
マンガは嘘で稚拙です様

レスありがとうございますm(_ _)m。
また、返事が遅くなって申し訳ありませんm(_ _)m。

>マンガって幼稚で嘘の塊です。娯楽ですから。そんな事も分かりませんか
別に、ブラック・ジャックを否定しておりません。批評しているだけです。

>連載当時に東大医学部の学生が医学的エビデンスがないと手塚先生に抗議の手紙を出したらしい
アメリカの話ですが、ERという緊急病棟を舞台にした医療ドラマがあります。このドラマの影響がとっても大きく、緊急病棟に運び込まれても助からなかった患者の遺族が『グリーン先生が居たら助かったのに』という騒ぐ事例が多発し、社会問題になりました。なお、グリーン先生はERに登場する医師の1人です。

そこまで極端でなくても、ブラック・ジャックと現実の医療を混同する人は大勢いたと思われます。当然、ブラック・ジャックを読んで過度の期待を持って現実との差に失望した患者さんが居たことは間違いないでしょう。

そう考えると、抗議をした東大の先生に私は同意します。おそらく、ご自分の専門分野で許せない描写があったのでしょう。

>手塚先生のマンガは人に娯楽を与えました。
そのことは、私は一切否定していません。ブラック・ジャックは楽しんで読みましたよ。
Posted by Jinguzi at 2015年04月17日 12:45
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

こばやし歯科医院バナー

人気ブログランキングバナー04

ご協力お願いしますm(_ _)m。